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シックハウス症候群の流行により、有害物質が含まれた家づくりが規制され、自然素材を使った安全性の高い健康住宅に注目が集まっています。ここでは、健康住宅の特徴から詳しい情報まで解説しているので、参考にしてください。
自然素材の建材を使って家を建てるのが、健康住宅の特徴です。骨組みやフローリングには無垢材を使用し、壁には漆喰や珪藻土(けいそうど)を使用します。また家に汚れた空気が入らないように、換気システムを搭載したり、風通りを良くする設計をしたりするのも同様です。
このようにシックハウス症候群の原因である、有害物質・ハウスダスト・カビなどが発生しないように考慮された住宅を健康住宅とよびます。
シックハウス症候群とは、住宅建材から出る化学物質により発症する健康障害です。頭痛・耳鳴り・めまい・吐き気・皮膚のかゆみなどのさまざまな悪影響を及ぼします。2002年7月に建築基準法が改正され、これまでシロアリ駆除に使用されてきた薬剤「クロルピリホス」は使用禁止に。また合板や壁紙の接着剤に含まれるホルムアルデヒドという物質の使用も、制限されるようになりました。
自然素材の健康住宅 | 一般的な住宅 | |
---|---|---|
接着剤 | デンプン剤 | 酢酸ビニル系接着剤、化学接着材 |
構造材 | 国産の無垢材などを使用 | 外国産の木材や集成材 |
フローリング | 国産無垢材 | ビニールなどのクッションフロア、合板など |
給水管 | ステンレスやポリプロピレン製 | 塩化ビニール |
断熱材 | ウールブレス(羊毛の断熱材) | グラスウール |
内装・壁 | 和紙や布、しっくい | ビニールクロス |
シロアリ対策 | ホウ酸やヒバオイル | 駆除剤 |
畳 | 減農薬畳 | スタイロ畳 |
コンロ | ガスコンロ | IHクッキングヒーター |
自然素材の建材などを使って建てる健康住宅には様々なメリットがあります。と同時に、デメリットもあります。具体的に、どのようなものがあるのか解説いたします。
家を建てる時に「家族が健やかに暮らせること」を重視する方は多いことでしょう。健やかな暮らしに欠かせない条件は様々ですが、清潔な室内環境もその一つといえます。この点が満たされないと、落ち着いて暮らすことはできません。
例えば、建材から人体に悪影響を与える揮発性有機化合物が放出されると、頭痛やめまい、吐き気などや、室内に大量のカビやダニが発生すると、鼻水や目のかゆみに悩まされる恐れもあります。
健康住宅は、これらのリスクを最低限度まで抑えることができます。人体に有害な物質を含む建材を使用していないから、全館空調により室内にきれいな空気を届けられるからです。誰でも安心して暮らせる室内環境を用意できる点は、健康住宅のメリットといえるでしょう。
健康住宅のもうひとつのメリットとして、ヒートショックを起こしにくいことが挙げられます。ヒートショックとは、温度の急激な変化で身体がダメージを受けることです。代表例として、温かい部屋から寒い廊下や風呂場へ移動することで脈拍・血圧が上昇し心筋梗塞や脳卒中を起こすことなどが知られています。日常に潜む大きなリスクといえるでしょう。
健康住宅は、家の気密性・断熱性を高めることで、部屋間の温度差を小さくしています。一般的に冷えやすいとされる廊下や風呂場であっても、室温は大きく下がりません。住宅内で温度の急激な変化が生じにくいので、ヒートショックを起こしにくいと考えられています。
日常に潜むリスクを小さくできる点は、健康住宅のメリットです。
住宅が長持ちしやすい点も健康住宅の特徴です。健康住宅は、室内環境を整えるため結露が発生しにくい造りとなっています。結露が発生するとカビが繁殖しやすくなるからです。
結露は、内部と外部の温度差が大きくなると発生します。温度差が大きい場所で空気が冷やされて水蒸気の一部が水に変わるためです。結露が発生しやすい場所として、窓や壁などを挙げることができます。
以上のほかでは、壁の内部も結露ができやすいとされています。断熱材の影響で、内部と外部の温度差が大きくなるからです。壁内で結露が発生すると断熱材が濡れてしまいます。
断熱材が濡れると周りの木材も塗れてしまいます(断熱材の性能に影響はありません)。この状態が続くと、柱などの腐食が進むかもしれません。柱などの腐食は、住宅の強度を低下させる原因です。壁内の結露は住宅の寿命に影響を与える恐れがあるのです。
先ほど説明した通り、健康住宅は結露が発生しにくい造りとなっています。結露ができるとカビが発生してアレルギーなどを引き起こす恐れがあるからです。結露を防ぐ目的は室内環境を整えるためですが、結果として住宅の長寿命化にもつながります。この点も健康住宅のメリットといえるでしょう。
住む人の主観に左右されるところはありますが、室内を快適と感じる方が多い点も健康住宅のメリットといえます。健康住宅の室内は、高気密・高断熱な構造や全館空調システム、調湿効果のある珪藻土を使用した壁などにより温度・湿度とも快適に保たれます。また、床などに無垢材を使用しているので、肌触りなども良好です。これらの特徴から、何となく暮らしやすい、過ごしやすいと感じる方が多いようです。
住んでいる方の中には、睡眠の質が改善したと感じている方がいるようです。これらの点も無視できないメリットです。
健康住宅のデメリットとして真っ先に挙げられるのが、建築費が高くなりやすいことです。
健康住宅は、国産の建材を用いて建てることが多いです。よって、材料費が海外の木材に比べ高くなります。また、自然素材の建材は一般的な建材に比べ取り扱いが難しいとされています。例えば、無垢材は時間の経過とともに反りや曲がりが発生します。無垢材を用いる時は、変化を計算して家を建てなければなりません。誰でも扱えるわけではないので、建てられる工務店などが限られるのも事実。とはいえ、メリットで紹介した通り健康住宅は長持ちしやすいとされています。イニシャルコストはかかりますが、長い目で見るとお得です。
健康住宅の定義が住宅会社ごとに異なる点にも注意が必要です。業界に統一された定義はないので、こだわりの度合いは住宅会社ごとに異なります。家を建てる前に、詳細を確認しておきましょう。
また、健康住宅を建てられる住宅会社の選択肢が少ない点もデメリットとして挙げられます。選択肢が少ないので、希望する外観の家を建てられないことや希望する設備を導入できないことなどが予想されます。
健康住宅を建てる上で、最初に重視したいのが、どんな木材が使われているか。ここでは、おすすめの木材をはじめ、外国産木材と無垢材の違い、体に及ぼす影響などについて、解説しています。
住宅に使われる断熱材といって、種類も素材も多種多様です。ここではそれぞれの断熱材の特徴やメリット・デメリット、健康住宅におすすめの断熱材を紹介しています。
住宅に使われる接着剤にはどのような種類があるか、健康に及ぼす可能性のあるリスクや、体に優しい接着剤などまとめました。
住宅を建てる際に使用されるさまざま材料。はたしてすべて安全な素材なのでしょうか。ここでは、住宅と有害物質の関係について紹介します。
ここでは、Fフォースターの安全性や本当の意味について紹介します。
本物の健康住宅を建てたいのなら、シロアリ対策方法についても理解することが重要です。ここでは、おすすめのシロアリ対策について紹介します。
有害物質を含む建材を使わない住まいを自然素材と言います。シックハウス症候群にならない健康住宅を建てるうえで、自然素材を使用することは必須です。
外から冷たい空気をできるだけ家に入れないようにして、家の中を暖かく保つことを高気密・高断熱と言います。高気密・高断熱の家は、ヒートショックと呼ばれる温度差によって脳卒中や脳梗塞が起こるのを予防するのに効果的です。しかし、本当に健康住宅に適していると呼べるのでしょうか。真相に迫ります。
家の中の冷房・暖房・換気・湿度調整などを一括で管理するシステムが全館空調です。綺麗な空気を常に供給できるのが全館空調のメリットになります。アトピーやアレルギーの改善にも効果的と言われていますが、必要性についてもう一度よく考えてみましょう。
調湿効果や消臭効果があることで知られる「漆喰」と「珪藻土」。健康住宅の外壁に使用するなら、漆喰と珪藻土ではどちらがより適しているのでしょうか。それぞれの成分の違いや特徴、コスト面から比較してみましょう。
ガラス繊維を使用した「グラスウール」をはじめ、断熱材にはさまざまな素材のものがありますが、健康住宅に使う断熱材には、天然素材のものがおすすめです。断熱材は快適な生活のためだけでなく、家の寿命をも左右するため、それぞれの素材の特徴をチェックしておきましょう。
近年人気の無垢材ですが、経年変化によってその色合いを変えていきます。
経年変化は必ずしも悪いわけではありません。代表的な素材とその変化傾向、無垢材の色が変わる理由、経年変の注意点知り、色合いの変化を楽しみましょう。
木材は薪として燃料に用いられることから燃えやすいというイメージがあります。しかし、実際には木造住宅にはある程度の耐火性があるのです。家事になった際、木材は表面は燃えるものの、表面が燃えて炭化することで内部まで燃えてしまうことを防げるため、構造強度を失って建物全体が崩壊しにくいという特徴があります。
私たちの暮らしの中には、さまざまな形の電磁波が飛び交っています。生活圏内にある電磁波の種類は、高周波電磁波、中間周波電磁波、超低周波電磁波の3種類です。高周波電磁波は主にWi-Fiやスマートフォン、電子レンジなどの電子機器や家電製品に、中間周波電磁波は主に電磁誘導加熱式(IH6)調理器に、超低周波電磁波は主に電気配線や家電製品に用いられています。
住宅の寿命は、その形態によって差異があります。日本におけるオーソドックスな住居である木造住宅の平均寿命は、約30年と言われています。しかし、木造建築の寿命には大きな幅があり、住まいによっては80年以上保つものもあるのです。鉄筋コンクリート造では40~90年、レンガ造なら減価償却資産の耐用年数表で38年となっています。
シックハウス対策としては、床材も化学物質を含まない無垢材にするべきでしょう。無垢材には自然の殺菌作用があるので、シックハウス症候群の主な原因のひとつであるカビやダニのリスクをある程度抑えられます。また、無垢材には暑い夏には湿気を吸収し、寒い冬には湿気を放出する自然の調湿効果もあり、これもカビやダニのリスク抑止につながります。
木造住宅は、適切なメンテナンスを行うことで、より長く快適に暮らすことができます。といっても、特別な道具や方法は必要ありません。毎日の掃除の場合、洗剤などを着けていないモップや乾いた雑巾でさっとホコリを拭き取る程度で十分です。木製のフローリングの掃除は、基本的に水拭きではなく乾拭きと覚えておきましょう。
自然素材は、化学物質を多用した合板などの素材に比べるとどうしても傷や汚れが付きやすくなります。そのため、多少の傷や汚れにあまりに神経質にならないようにしましょう。また、ひと口に「自然素材」と言っても、その種類は多岐にわたります。家造りはいちど完了したらそう簡単にはやり直しが効かないので、着工前にどんな素材が自分の理想に合っているかをしっかり調べておくようにしましょう。
自然素材を選ぶ際には、そこで暮らす人間だけでなくペットのことも考えてあげるといいでしょう。例えば、滑りやすい素材だと犬や猫にとっては転倒の危険が大きくなります。そのため、傷がまったくつかないほどの硬さの素材ではなく、適度な硬さのものを選ぶといいでしょう。また、人間には影響が出ない程度の量の化学物質でも、ペットにとっては影響を与えてしまう場合も。そのため、塗料や接着剤などを選ぶ際には、人間だけでなくペットへの影響も考えましょう。
ファミリークローゼットは利便性が高い一方で、設置したことを失敗したと感じている人もいます。なぜ設置を失敗したと感じているのかを知ることが、ファミリークローゼットで失敗しないための家造りにつながるでしょう。
室内窓にはメリットがある一方で、注意すべき点があります。また、そもそも室内窓にピンと来ていない方もいるかもしれません。そこで室内窓のメリットや注意点だけではなく、事例も紹介します。
冷房病の対策はエアコンと上手く付き合うことです。外気温からマイナス3度~4度設定にし、ときどき止めて外気を取り入れます。設定温度や冷風の向きを変えられないなら腹巻きやスカーフをするなど、複数の対策ができるのです。
赤水が出たら一時的な対策として、水を流しっぱなしにして水圧を利用し水道管内をきれいにするフラッシングが有効です。他にも浄水器を設置するという方法もあります。ただ、根本的な改善にはならないので、専門業者に相談するのもいいでしょう。
健康住宅を建てるうえで、木材選びは重要です。住宅には無垢材、集成材、合板、MDFが主に使用されています。それぞれにメリット・デメリットがありますが、健康住宅を建てるのであれば、上質な国産の無垢材がおすすめです。
家の中の空気が乾燥していると、のどの痛みや渇きを感じやすく、活発になったウイルスによって風邪をひきやすくなります。乾燥対策には加湿器を使い、適度な湿度に保ちましょう。室内で洗濯物を干したり、エアコンの温度設定を下げるのも有効です。