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これから先の時代、人々の住まいは長期間安全に生活できる長期優良住宅であることが求められます。できるだけ長い期間同じ家で安全に暮らすためには、定期的なメンテナンスや老朽化のチェックが必要になるでしょう。では、住宅の寿命はどれくらいなのでしょうか。ここでは、さまざまな住宅の形態ごとの住宅の寿命や、住宅の寿命を伸ばすためのポイントを学んでいきましょう。
日本のオーソドックスな住宅形態である木造住宅の平均的な寿命は、一般的に30年程度と言われています。ですが、これは必ずしも木造住宅は30年で老朽化して住めなくなるという意味ではありません。
実は、木造住宅の純粋な耐久年数には、30~80年という大きな幅があります。つまり、30年前後で住めなくなる木造住宅があれば、長く住める木造住宅もあるということなのです。木造住宅の耐久年数にこのような大きな幅がある理由としては、「質より量で建てられた木造住宅が多く存在すること」が挙げられます。戦後の住宅不足の状況下で、とにかく不足した住居の数を補うために十分な耐震性や耐久性を持たない質の低い住宅が数多く建てられたのです。当然これらの住宅は長く住むことができません。また、耐久性はそれほど落ちてはいなくても古い時代に建てられた木造住宅は現代の新しい耐震基準を満たせていないので、結局取り壊して建て直さなくてはいけません。
また、高度成長期の新築建設ラッシュの際に建てられた木造住宅の多くは、将来的な間取りの変更を考慮していなかったことも理由のひとつとして挙げられます。間取りの変更がしにくい家はリフォームや増改築がしにくくなるので、取り壊して建て直さなくてはいけません。そうなると、必然的に住宅としての寿命は短くなります。このほかにも、区画整理や立ち退きといった外的要因も住宅の寿命に大きな影響を与えます。
このように、住宅の寿命は必ずしも耐久年数とイコールではありません。住宅の寿命は、上記のように建築時期や法的な問題も絡んでくるので、30~80年という幅広い数字になっているのです。
参照元:期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新 による価値向上について(https://www.mlit.go.jp/common/001011879.pdf)マンションなどの鉄筋コンクリート造の住居の寿命は木造住宅よりも長く、40~90年と言われています。また、鉄筋コンクリート住宅(RC造)の法定耐用年数は47年です。
また、鉄筋コンクリート住宅の耐用年数は、構造や用途によっても異なります。例えば、軽量鉄骨プレハブ造(骨格材肉厚3㎜以下)なら19年、軽量鉄骨プレハブ造(骨格材肉厚3㎜超4㎜以下)なら27年、事務所用なら50年、飲食店用なら37年となっています。
全般的に木造住宅よりも耐用年数が長い鉄筋コンクリート住宅ですが、その耐用年数は周辺環境に大きく左右されます。海の近くで潮風を受けやすい場所や直射日光が当たりやすい環境だと、その分耐用年数は短くなります。
減価償却資産の耐用年数表では、レンガの家は38年とあります(店舗用、住宅用、寄宿舎用、宿泊所用、学校用又は体育館用のものを参照)。
また、レンガ造りの家は耐震性、耐火性、耐久性、環境への影響なども考慮した建造方法となっています。
参照元:減価償却資産の耐用年数表(https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/info/hyo01_02.pdf)住宅設備は、どんなに気をつけていても必ず劣化していくものです。しかし、老朽化してきた設備をリフォーム、リノベーションすることで住宅の寿命を伸ばすことができます。
配管や外壁などの劣化を避けられない部分は、住めなくなるほど劣化する前に改修することで住宅としての寿命を延ばせます。また、住宅を建てるときに周辺環境もチェックしておき、住宅へのダメージが少ない土地を選ぶことも大切です。
前述の通り、住宅の寿命には耐用年数だけでなくリフォームのしやすさも影響します。そのため、住宅を建てる際に最初から将来的に改修や増改築を行うことを計算に入れておくことで、寿命の長い住宅にすることができるのです。
屋内はもちろんのこと、外壁なども毎日こまめに掃除をすることは住宅の寿命を伸ばすために大切なポイントです。美観を保つのはもちろんのこと、毎日くまなく掃除をしていれば、破損や異常を早期発見することができます。特に、外回りや水回りは、破損や異常に気がついたときにはすでに被害が深刻化していることも少なくありません。そのため、毎日の掃除で住まいの各所を点検することは非常に需要なのです。
外壁の目地部分や雨どい、玄関扉やサッシなど破損や劣化が起こりやすいので定期的にメンテナンスをしておくことが重要です。トラブルの発見は早ければ早いほど被害や費用を抑えることができます。少しでも異常を感じた場合はすぐに業者に連絡して補修を依頼しましょう。自力での点検やメンテナンスが困難な場合には、住宅を建てた業者に定期的な点検を依頼しておくという手段もあります。
台風や地震などの自然災害や、火災などの事故はいつ起こるかわかりません、したがって、住居に長期間安全に住むためには、各種保険への加入は必須です。一般的には住宅ローンの加入と火災保険はセットになっていますが、それ以外の保険にも必要に応じて加入うしておくといいでしょう。
火災保険以外の代表的な保険としては地震保険があります。地震による火災については、火災保険ではなく地震保険の対象となるので注意しましょう。地震保険は、地震だけでなく通常の火災保険ではカバーされない噴火、津波による損害も対象となっています。地震保険は単体ではなく、火災保険とセットで加入するのが基本となります。
地震保険と同じく、火災保険の対象とならない家財道具についての保険として、家財保険があります。火災保険の対象はあくまで建物であって、その中にある家財道具はその範疇には入っていません。家財保険では、落雷の影響で破損した電化製品、浸水や水漏れで汚損した家具などが補償の対象となります。
住宅には、その構造によってそれぞれ異なる寿命があります。しかし、住宅の寿命を決定づけるのは耐震性や耐火性といった住宅性能だけはありません。定期的なメンテナンスや増改築のしやすさなども、住宅の寿命を左右する大きな要因となるのです。住宅の寿命をなるべく伸ばすためには、定期的な掃除やメンテナンスに加え、不意の災害や事故に備えた保険への加入などが有効です。