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私たちの生活を取り巻く環境には、住宅建材、洗剤、柔軟剤など、さまざまなところにさまざまな種類の化学物質が用いられています。
もちろん、そうした化学物質がただちにすべての人に重篤な健康被害をもたらすわけではありません。しかし、中にはごくわずかな化学物質に対しても過敏に反応し、不定愁訴をはじめとするさまざまな症状を呈する場合があります。
ここでは、そうした化学物質過敏症について学んでいきましょう。
衣料用洗剤や柔軟剤など、身近にある薬剤や住まいを構成する建材などに含まれる特定に化学物質に対して過敏に反応してしまう症状が、化学物質過敏症です。
シカゴ大学のCullen MRらのグループによれば、化学物質過敏症は「過去にかなり大量の化学物資に一度接触し急性中毒症状が出現した後か、または生体にとって有害な化学物質に長期にわたり接触した場合、次の機会にかなり少量の同種または同系統の化学物質に再接触した場合にみられる臨床症候群」と定義されています。
また、住宅に用いられる建材や塗料、接着剤などに含まれる化学物質によって引き起こされる健康被害は「シックハウス症候群」と呼ばれているものです。小さなお子さんや体の弱い人、高齢者への悪影響が問題視されています。
化学物質過敏症の症状の症状は一定ではなく、人によってさまざまです。また、同じ環境でも症状が出る人と出ない人がいます。主な症状は、頭痛、吐き気、鼻水、耳鳴り、のどの痛み、せき、動悸、息切れ、湿疹、目がチカチカするなどです。
また、いったん過敏性を獲得してしまうと、通常なら人体に影響が出ないほど微量の化学物質に対しても症状が出ることがわかっています。
こうした症状を引き起こす化学物質は特定の種類ではなく、身近にあるさまざまな製品に含まれています。代表的なものは香料などを含む洗剤、柔軟剤、芳香剤、消臭剤などの日用品や化粧品、殺虫剤や虫よけスプレー、農薬などの薬剤です。
また、住宅に使用されている建材、塗料、接着剤などに含まれる化学物質によって健康被害が引き起こされるケースもあります。
化学物質過敏症の治療法は、現在のところ確立していません。対処法としては、原因となる化学物質との接触をできるだけ避けられる環境で生活することが基本となります。衣料用洗剤や柔軟剤、消臭剤などの薬剤を密閉された場所や狭い空間で大量に使用しない、そうした薬剤をなるべく使わないといった対処を行いましょう。
また、住宅に含まれる建材や接着剤によって引き起こされる健康被害に対しては、化学物質を含まない無垢材などの天然素材で家を建てるという対処法も有効です。