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外から聞こえてくる自動車やバイクの音、話し声やペットの鳴き声といった騒音で心身に影響を与えるサウンドシンドローム。「音」は人によって気にならなかったりストレスになったりする、デリケートな問題です。こちらでは、サウンドシンドロームの原因や、騒音が起こりにくい家づくりについて紹介しています。
耳に入ってくる音は聴覚神経信号に、体が振動を感じると知覚神経信号になり、総司令塔である大脳に送られます。それによって、心地よく感じたり不快に感じたりするのです。
不快に感じやすい音の発生源としては、
などが挙げられています。
電化製品や音響機器などに関しては、購入前に騒音レベルを確認しておくといった対策が取れますが、家の設備や屋外の騒音に至っては個人でどうこうできるものではありません。
これから家を建てるのであれば、寝室は水場から遠ざけて配置するなどの設計にして屋外の騒音をシャットアウトするなど、設計図の段階で相談して建てるようにしましょう。
鉄筋コンクリート造の物件と違って、木造の物件は音を通しやすい性質を持っています。しかし、「木」には鉄筋コンクリートが持っていないリラクゼーション効果や有害な紫外線を吸収する特性があるため、一概には鉄筋コンクリート造のほうが良いとも言えません。
音に対する木の弱点を把握し、遮音性の高い健康住宅がつくれるハウスメーカーに依頼するのがおすすめです。また、ドラム式洗濯機のような振動が大きい洗濯機を購入する予定がある場合は、その部屋の床の強度や設置場所、リビングとの位置関係にも注意しましょう。
サウンドシンドロームとは住宅内での音や振動が人に対しての心地良い領域を超えて苦痛に感じたり、心身に悪い影響を与え兼ねない状況を指す。具体例としては住宅内での使用される家電製品や生活音等が家族や近隣の健康を阻害する原因になる事である
普段使っている家電製品が発する音やドアの開閉音、テレビの音量などの生活音が、時としてストレスになってしまうことがあります。家の中の生活音や振動が許容範囲を超えてしまうと苦痛になり、心や体に悪い影響を与えるのが「サウンドシンドローム」です。
音が原因で気分が落ち込んでしまったり、睡眠障害を起こしてしまったりする人もいるため、軽視できない問題となっています。物音に敏感なのであれば、音や振動を防いでくれる素材や工法で家づくりをしていく必要があるのです。
住宅設備からはさまざまな音がします。特に気になるのは換気設備の音でしょう。
現代の家は、2時間に1回のペースで家全体の換気ができるように24時間換気設備を設けることが義務付けられています。換気設備が24時間稼働していると、そのモーター音が気になってしまうことがあるのです。
たいていの場合、換気設備は屋根裏もしくは1階と2階のあいだに設置されます。そのため、夜の寝室でモーター音が気になったり、2階全体に音が響いたりするケースがあるので、換気設備の位置には気をつけましょう。
上の階に大きな音が出やすい部屋を設置してしまうと、その音が下の階に響いてしまうという失敗はよくあるパターンです。2階建ての場合、2階に子供が遊ぶ子供部屋やトイレなどを設置すると、下の階に設置したリビングや寝室に音が響いて気になってしまうというケースが典型的と言えるでしょう。
現代の家の床は二重貼り、三重貼りが標準となっているので、昔の家に比べるとそれほど上の階の音が下の階に響くことはなくなっています。しかし、上の階の生活音を完全に遮断することは構造上難しい場合があります。一階に寝室がある場合、その真上に生活音の出やすい部屋を設置することは避けたほうがよいでしょう。
吹き抜けを設置すると上方向に空間的な広がりが出せるので、魅力的な屋内空間を演出できます。たしかに吹き抜けを設置すると、屋内に自然光をふんだんに取り入れられる、2階から1階を見渡せるといったメリットが得られます。しかし、同時に2階の音が1階に伝わりやすいというデメリットも生じるのです。
しかも、吹き抜けを設置すると1階と2階がトンネルで繋がったような構造になるので、通常よりも音が響きやすい場合があります。
住まいの代表的な生活音のひとつが換気扇の音です。換気扇の音は、どちらかというと自分たちよりも近隣からの騒音苦情の原因となります。
特に注意が必要なのはお風呂の換気扇。お風呂は密閉された空間なので反響しやすいことに加えて、設置されている換気扇が大きく外のダクトに直接つながっているので、換気扇や中の音が外に聞こえやすい環境となっているのです。
お風呂の音が外に漏れやすいのは構造的なものなので、仕方がない部分もあります。しかし、間取りを考えるときに排気口の位置を考慮するなど対策を講じることで、周辺への音漏れを減らすことができるでしょう。
キッチンもまた、住まいの中の生活音の代表的な発生源です。特に、最近のキッチンには標準装備となっている食洗機の音には注意が必要です。食洗機は電気代の安い夜間に使うことが多いものですが、夜に食洗機を使うと意外に音が響きます。
キッチンからの生活音対策については、食洗機の機種を確認するのが有効です。一般的な食洗機の中には、起動すると1~2時間ほど音が出る機種もあるので、食洗機をより静かな機種に買い替えるという手段があります。ほかにも、設計段階でLDKと寝室が隣接しないようにするのも有効です。
生活音がきになる場合の対策として、自然素材を用いるという方法があります。結論から言うと、自然素材は遮音性を高めるのに有効です。
各種素材の遮音性の高さは、その素材の密度によって決まります。特に、軽い素材だと重低音を防ぐことは難しいので、防音性を高めたいなら密度の高い素材を用いる必要があるのです。
代表的な自然素材である土壁や砂壁は、一般的な合板や石膏ボードに比べて密度が高く重いので、高い遮音性を確保できます。
音の拡散や反響を防ぐには、遮音性とともに吸音性も重要です。素材の吸音性を決定づけるのは、その素材の表面にある凹凸です。空気の波である音が凹凸の多い素材の表面に当たると、凹凸の中で反射しているうちにエネルギーを失います。そのため、凹凸の多い素材は吸音性が高くなるのです。
自然素材の多くは、その表面が均一ではなく細かい穴がたくさん開いている多孔質です。そのため、自然素材を建材に用いることで家屋の吸音性を高めることができます。