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湿疹やかゆみなどの症状がつらいアトピー性皮膚炎。その症状、もしかすると居住環境に原因があるかもしれません。こちらでは、アトピー性皮膚炎の原因や、症状を緩和させるための家づくりについてまとめています。
皮膚の炎症は、体が細菌や外敵と戦っている時の免疫反応で起こるもの。アレルギーを起こしやすい体質であるアトピー素因を持っていたり、皮膚のバリア機能が弱まっていたりすると過剰な免疫反応で必要以上の炎症を起こしてしまいます。
長い間、皮膚に強い刺激やストレス、疲労が加わる環境も良くありません。たとえば、ダニの死がいやフン・カビ・花粉・動物の毛などのハウスダスト、化粧品や洗剤などの化学薬品、紫外線や汗などが皮膚への刺激になります。アトピー素因を持つ人がこのような刺激がある環境の中で生活を続けると、免疫機能が不安定になり、アトピーを発症したり症状を悪化させたりしてしまうのです。
湿疹だけではなくかゆみも起こるアトピーは、かきむしる・ひっかくなどの行為でますます炎症がひどくなり、余計に外からの刺激を受けやすい状態になります。このような悪循環を防ぐためにも肌の保湿はもちろん、ハウスダストや化学薬品を避け、できる限り肌に刺激を与えない環境下で生活することが大切です。
アトピーにとって、ハウスダストといったアレルゲンを避けられる環境であることが重要です。ダニやカビ、花粉などのハウスダストは空中に舞い上がり、空気に混じることで人は体内に吸い込んでしまいます。そのため、ハウスダストが舞い上がらず、性能の良い換気システムが備わった健康住宅がベスト。
呼吸する無垢材や吸湿・放湿性に優れた漆喰、珪藻土などの素材を上手に使い、適切な換気ができる健康住宅ならキレイな空気が充満します。肌に刺激物が触れる危険性もグンと下がるのです。
自然素材とは、ヒノキやスギ、石や珪藻土など、自然界に存在する素材のこと。上手に取り入れれば、カビやダニの発生を防ぎ、調湿効果も期待できます。
建築素材に含まれる化学物質は、アトピーの発症や悪化の原因になります。「新居に移った途端に体調が悪くなった」という例もあり、このように人体に影響を与える住宅を「シックハウス」といいます。とくにアトピー患者は、フローリング塗料や接着剤に含まれているホルムアルデヒドや防虫剤によって症状が重くなるなど、化学物質の影響を受けやすいのです。しかし、自然素材ならこのような化学物質を出すことはありません。
また、青森ヒバや台湾ヒノキには、ヒノキチオールやフィトンチッドという成分が含まれており、カビ・ダニの増殖を抑えてくれます。ヒノキのいい香りはリラクゼーション効果もあるので、フローリングや寝室にも利用するのもおすすめです。
珪藻土(けいそうど)や漆喰(しっくい)には調湿効果があり、壁材として使用されます。空気中の水分が多いときは吸収し、足りないときは放出して、まるで呼吸するように湿度の調節をしてくれます。これによって空気の乾燥や、高湿度によるカビやダニの発生を防ぐことが可能です。
家全体の空調を管理するシステムを全館空調といい、室内の温度を一定に調整してくれるのが特徴です。アトピー患者は皮膚のバリア機能が低下しているため、温度差がかゆみの発症の原因になります。
例えば、冬に暖房が効いている温かい部屋から、暖房のない温度の低い部屋へ移動すると、その寒暖差によってかゆみが発症してしまいます。そこで全館空調で室内の温度を一定にすることで、温度差によるかゆみを防ぐことができるのです。夏場は室内の温度を25℃から28℃、冬場は17℃から22℃に保つといいでしょう。
乾燥も、アトピーにとっては大敵。反対に高すぎる湿度は、カビやダニ発生の原因になってしまいます。全館空調の中には温度だけでなく、湿度を設定できるものあります。そういった機能がついていれば、室内の湿度を一定に保つことが可能です。室内の湿度を40%から60%にすると、乾燥だけでなくカビやダニの発生も防ぎ、アトピー発症のリスクを減らすことができます。
皮膚の炎症で湿疹やかゆみを引き起こすアトピー(正式名称:アトピー性皮膚炎)は、慢性的に続く皮膚の病気です。赤みが出たり傷口がじゅくじゅくしていたりする湿疹が特徴で、良い状態と悪い状態を繰り返します。
症状は左右対称に出ることが多く、おでこや目のまわり、口まわり、手足の関節の内側などによく見られるようです。家族がもともとアトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎・食物アレルギー・喘息・花粉症などを持っていた場合、遺伝的要因でアトピーを起こしやすくなることもあります。