“本物の”健康住宅を建てる~東京で叶う、上質な暮らし~
メニューボタン
“本物の”健康住宅を建てる~東京で叶う、上質な暮らし~ » 家に潜む、病気・体調不良・悩みの数々 » 寒暖差(サーマルショック、ヒートショック)

公開日: |更新日:

寒暖差(サーマルショック、ヒートショック)

血管が収縮して心疾患や脳血管疾患を引き起こすヒートショックは、寒暖差によって起こります。寒暖差を防ぐには、どのようなことに気をつけて家づくりを進めるべきでしょうか?こちらでは、ヒートショックの原因や家づくりのポイントをまとめています。

ヒートショックとは?

寒暖差によって起こるヒートショックは、血管が収縮することで血圧が上昇したり脈拍が早くなったりする現象を指します。厳しい寒さが続く季節に入浴中の突然死が増えるのは、温かい場所から寒い場所に移動した際に起こるヒートショックが主な原因です。厚生労働省の発表によると、お風呂場で亡くなる方はこの10年間で7割も増加したとのこと。

さらに、ちまたでは「寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)」が話題になっています。これは7度以上の寒暖差によって自律神経が乱れ、鼻がムズムズする・くしゃみが出る・蕁麻疹(じんましん)が起こるなどの症状が現れるというもの。

ヒートショックも寒暖差アレルギーも温度の変化で血管が収縮することにより、起こるのです。

ヒートショックが引き起こされる原因

温かな場所から寒い場所へ移動した時に血管が収縮することで、体に異変を与えるヒートショック。夏場よりも冬場のほうが大きな温度差が起きやすく、注意が必要です。

血管の収縮により、とくに強い影響を受けるのが心臓や脳。どちらの臓器も多くの血管があり、大量に血液が流れています。つまり、寒暖差は心筋梗塞や脳卒中を引き起こす要因。血圧に問題を抱えている方や高齢者は、寒暖差を避けたほうが心疾患や脳血管疾患の発症リスクを下げられるのです。

寒暖差アレルギーの方はアレルゲンではなく、寒暖差による自律神経の誤作動が原因なので、なるべく温度差のある場所を行き来しないよう心がけましょう。また、自律神経を整えるため、適度な運動で体力をつけ、規則正しい生活習慣を送るようにしてください。

ヒートショックを起こさないための対策方法とは?

家全体の温度がほとんど同じであることが大切

ヒートショックや寒暖差アレルギーを防ぐためには、リビングや廊下、トイレなど家全体の温度がほとんど同じであることが大切です。「リビングは温かいけど、そのぶん廊下がひどく寒い」「1階と2階で温度が違う」などの事態を避けるため、全館空調を導入した家づくりがおすすめ。どの部屋に移動しても同じ温度が保たれているなら、ヒートショックが起こる心配をしなくて済みます。

また、お風呂場で亡くなる方が多いことから、お風呂場は他の部屋との温度差が起こらないように設計をするのがポイント。お風呂場では着ている物をすべて脱ぐため、体は寒さを敏感に感じ取ってしまいます。そのため、北向きの配置を避け、熱を逃がさないために窓はあまり大きくしないなど、温度差を最小限で抑えられるような配慮が必要です。

新築住宅におけるヒートショック対策

これから住宅を建てる場合は、ヒートショック対策として「気密性」「断熱性」がポイントになります。

気密性を高める

「気密」とは、隙間がどのくらい少ないかということを指す言葉です。つまり、空気が流れる隙間が極力少ない家は、「高気密住宅」ということになります。

気密性が高い住宅は、室内の温度が外気に影響されにくいため、室内の温度を一定に保つことが可能です。逆に気密性が低い家は、底冷えして室内が温まりにくく、花粉や有害物質が入り込む可能性も高くなります。

断熱性を高める

「断熱性」とは、家の内外の熱を遮断する性能のことです。家の構造材「コンクリート」「鉄」「木材」の中で、熱が最も伝わりやすい構造材は、「鉄」。熱を伝えにくい材質は、「木材」です。コンクリートや鉄で家を建てる場合は室内の温度管理が難しくなり、冬場に結露が起こったり、カビやダニが発生しやすくなったりします。

また夏場は、外気の熱が窓のサッシ部分から進入。冬場も室内の暖房の熱が、外へ漏れてしまう原因となっています。

高断熱の家を建てるには、質の高い断熱材や断熱性の高い窓を使用することはもちろん、施工の技術も重要な問題です。一般的に断熱材として広く使われているのは「グラスウール」ですが、コストが安い反面、隙間を作らずに施工するには、かなりの技術が必要になります。そのため、「ポリスチレンフォーム」などの発泡系の断熱材が注目を集めています。

24時間換気システムを導入する

家の気密性を高めることで、室内に入り込んだホコリやダニなどが外に出にくくなるため、24時間の換気が必要になります。2003年の「建築基準法改正」以降、高断熱・高気密住宅を建てる場合は、24時間換気システムの導入が義務化されました。システムによっては、家の中の空気をすべて、2時間程度で入れ替えられるものもあります。

ヒートショックは寒冷地で起こるとは限らない?

「東京都健康長寿医療センター」が発表した、全国における「入浴中心肺停止状態」の発生データによると、1月の発生件数が1759人と最も多く、8月が165人と最も少なくなっています。ただ、寒冷地だからヒートショックが起こりやすいとは一概にいえません。

寒冷地には住宅の防寒対策が整っている場合が多く、冬は極寒の地として名高い北海道では、2重サッシを使うなどは常識です。

ヒートショックを防ぐには、室内の温度差を一定に保つ設計が大変重要になります。

高気密・高断熱住宅を推奨「省エネ化制度」と「ZEH」

国土交通省が定めた「省エネ基準適合義務化」制度では、2020年以降は、平成28年の省エネ基準を満たしていない住宅の建築を許可しないとのことでした。ただ、小規模住宅においては制度の延期が通達されています。

政府は「2020年までに新築注文住宅の過半数を“ZEH”(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)にする」という目標を掲げているため、制度が延期されたとはいえ、「ZEH」に対応する高気密・高断熱住宅は今後も増えていくでしょう。