公開日: |更新日:
温暖化で年々熱くなる夏場の熱中症は、室内でも発生します。ここでは熱中症についての症状や原因、健康住宅にすることでできるさまざまな防止対策、万が一熱中症になってしまった時の応急処置までを紹介していきます。
熱中症とは、日本の典型的な気候である高温多湿の環境で、身体がそれに適応できずに起こる様々な症状のことです。
人間は本来、気温が上昇して暑さを感じると汗をかきます。そしてその汗が蒸発することによって、気化熱を利用して体温を下げるメカニズムになっています。しかしその機能が働かない場合や、汗のかきすぎでナトリウムが不足して低ナトリウム血症になり熱中症になるケースがあります。
熱中症の主な症状は、以下のとおりです。
室内は窓やドアを開けない限り通気はできません。また開けても暑い空気や風が入り込んできます。夏場はこれにより一度内部の温度が上昇すると、室内は外よりも暑くなり悪循環。さらに夜間になり温度が少し下がると、室内に日中溜め込まれた熱気を放出するので、夜も暑く感じます。
温度の上昇の原因は、窓などの開口部からの日差しと外気。屋根や壁の断熱材の質に左右されることもあります。
暖かい空気は軽くて上に流れ、冷たい空気は重たくて下に流れるという法則が、不快感を生むことも原因です。特に夏場は身体が熱を放出して体温調整をするためには、体温より冷たい環境が必要になります。ところがエアコンをつけても冷気が足元に溜まり、足先は冷えて体は熱いままという現象が起きてしまいます。
また2階建ての家でエアコンの冷気は1階では効き目はあっても、2階は日中に温められた屋根からの熱気で温度が高めになるのも同様の現象です。
温度はそれほど高くなくても、湿度が高いと不快度は一気に上がります。こんな時は以下の方法を試してみてください。
まずはエアコンの除湿機能。言うまでもなく夏場はエアコンとともに手軽にできる対策です。エアコンとは別にあると便利なのが除湿機です。移動ができるので、除湿したい部屋に持っていくとか、梅雨時に洗濯物を浴室で乾かす、また冬場でも使用できます。
ほかには窓やドアなどを2箇所空けて風通しを良くしたり、そこに扇風機やサーキュレーターを併用するのもいいでしょう。
湿気が溜まりやすい押し入れやクローゼットの収納空間は、除湿剤がお勧めです。臭いも気になるなら、重曹や竹炭を使用してみるといいかもしれません。
室内ではエアコンや扇風機で室温や湿度を調節すると同時に、ブラインドや簾でできるかぎり遮光をして、室温を下げるようにしましょう。外出時は日傘や帽子で直射日光を遮り、できるだけ日陰を歩きましょう。帽子は長時間の使用で頭部が蒸れるので、定期的に脱いで風を通しましょう。
服装一つで体感温度は大きく変わります。ノースリーブや袖口がゆったりしたもの、襟ぐりの開いたものなど、体を締め付けないデザインで風通しを良くしましょう。吸汗性や通気性のある麻やコットンのもの、速乾・冷感素材もおすすめです。
汗をかくと水分だけでなく、ミネラルやビタミンも失います。脱水症状になる前に、意識してこまめに水分補給をしましょう。起床時や入浴後はもちろん、喉が渇く前に水分補給することがポイントです。
カフェインの含まれている飲料は避け、市販の経口補水液や水と食塩、砂糖を混ぜたお手製のものもいいでしょう。オレンジジュースと混ぜたりするとお子様でも飲みやすくなります。スポーツ飲料は糖分が多めなので、摂取のし過ぎに注意してください。
熱くなる前から少しずつ運動をして、体を暑さに慣らしていきましょう。しっかり汗をかける体作りは体温調整にも必要です。また適度な運動は免疫機能の向上にもなります。
栄養バランスが良く規則正しい食生活は、熱中症だけでなく夏バテや体力維持に欠かせません。ビタミンやタンパク質が豊富なバランスの良いメニューで1日3食をしっかり食べて、体力をつけましょう。質の良い睡眠も忘れずに。
高断熱や高気密の家というと、冬に暖かいイメージを持つかもしれませんが、実は夏場のエアコンの効果も上げてくれるのをご存知でしょうか?
エアコンで冷やされた室内は、高気密の家であれば熱い外気をシャットアウトしてひんやり感をアップさせてくれます。空気の循環もスムーズなので、家中が同じ温度で快適空間に。また高断熱であれば、外からの熱の影響を抑えてくれるので、エアコンを消した後でもそのひんやり感が長持ちします。
古くから高温多湿な日本の家に使用されてきた無垢材や珪藻土には、日本の風土に適した自然の調湿機能があります。湿度が高くなれば吸湿して、乾燥気味になれば放湿して、室内を快適に調湿してくれます。床や壁、天井などにこれらの建材を使用することで、調湿効果はもちろん、シックハウス症候群の防止も期待できるでしょう。
また構造躯体に使用できる調湿機能を持つ建材もあります。見えない部分にも使用することで、躯体内の結露のリスクを減らすことができます。
熱中症になってしまったら、救急車の到着の有無に関わらず、速やかに応急処置をしましょう。
症状の重さに関わらず、まず涼しい場所へ移動させます。エアコンの効いている涼しい室内や、それができなければ風通しの良い日陰などがいいでしょう。
次に体を冷却します。体を締め付けているネクタイやベルトは外して、衣服をゆるめます。それから皮膚に直接水をかけて、扇風機やうちわで風を送り体温を下げます。氷のうやアイスパックがあれば、首の両脇、脇の下、そけい部などの太い血管に当ててさらに冷やします。
水分の補給も重要です。本人の意識がある場合は、電解質を含んだ冷えた経口補水液やスポーツ飲料を自力で飲ませましょう。もうろうとしていたり、意識がない場合、また吐き気がある場合は口からの水分補給は適切でありません。医療機関で点滴などの処置が必要です。