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家の寿命を短くしてしまうと言われている「結露」。放置するとアレルギーの原因になる可能性もあるので注意が必要です。ここでは、結露が発生する原因や対処法、おすすめ素材を紹介します。
結露の正体は空気中に含まれる水蒸気で、空気の温度差によって生じます。結露が起こりやすい場所は、温度差が大きなところ、湿気が多く、空気がこもりがちなところです。
なぜ温度差よって生じるのかと言うと、温度によって存在できる水蒸気の量が決まっているからです。0℃では4.8g/m3、10℃では9.4g/m3と温度が上がっていくにつれて存在できる水蒸気の量が増えていきます。
そこで温度変化があった場合を考えてみましょう。10℃の空間に9.4gの水蒸気が存在していると仮定します。この状態で温度を0℃に下げると存在できる水蒸気の量は4.8gへ変化。もともとあった4.6gの水蒸気が余ってしまい、水となってあふれだします。これが結露のメカニズム。冷えたジュースの入ったコップや冬の窓ガラス付近は冷気によって空気が冷やされるため、存在できなくなった水蒸気が水となって外にあらわれているのです。
断熱性により屋内温度を高く保ち、かつ、高気密により水蒸気が換気されにくい住宅は、結露が発生しやすいのです。気密性が高いと冷暖房の効率がよく、省エネにつながります。しかし、高気密高断熱の住宅は、24時間換気を必ず行う必要があると言えます。高気密ゆえに、換気をしないとすぐに結露をおこしてしまうのです。
結露を防ぐ方法には「室内の水蒸気量を減らす方法」と「温度差をなくす方法」の2通りあります。結露しない家はエアコンや除湿機によって、湿度が低い状態。あるいは換気がよく出来ていて、空気の入れ替えが十分できていることがあげられます。これらをクリアできている家なら結露が起こりにくいと言えるでしょう。
空気の通りみちをつくる、適気密で水蒸気の逃げ道をつくる家づくりをする。高気密・高断熱ではなく、適気密が鍵になってくるのです。
高い調湿性能をもつ素材を選ぶことで、自然と湿度のコントロールができます。使用する断熱材をウールにしたり、無垢材や漆喰といった素材を使用することで、長持ちする住宅づくりが可能です。無垢材や漆喰は、小さな穴がたくさんある低気密性の素材で、まるで人の肌のように、住宅が呼吸できるイメージです。
ウールの吸湿率はポリエステルの約40倍ともいわれていて、いろいろある繊維の中でもひとつずば抜けています。なぜこれほどまでにずば抜けているのかというと、吸収した水蒸気をウールの組織内に保持できるから。さらに、ウールは繊維の内部に水蒸気を吸収するので、湿気を吸湿してもウールの表面はサラッとしているのが特徴的です。
一般住宅(延床面積40坪・2階建て)の場合、ウールブレスで家を包むと500mlのペットボトル約152本もの水蒸気をウールブレスに保持することができます。
参考)屋根130m²、壁230m²、床130m² (ウールブレスV-100ロール 54梱包施工時) 20℃ 65%の環境下で計算しました。
調湿性能による結露対策を考えるなら、珪藻土がおすすめです。壁や天井など、広い範囲に珪藻土を採用すれば、高い効果が期待できます。ただ、珪藻土を固めるために混ぜている成分に有害なものは使われていないかもしっかり確認しましょう
温度が下がったときに存在できなくなった水蒸気が結露を起こしてしまうため、そもそも存在している水蒸気の量が減れば結露を防げます。それを可能にする機能が「全館空調」です。各部屋と空調をダクトでつなぎ、常に家じゅうの空気を換気。湿度の調整ができるものもあります。換気によって水蒸気を多く含んだ空気を定期的に外へ出したり、除湿によって空気中の水蒸気を少なく保つことで結露と無縁の住宅を作ることができるのです。
結露には、目でみてわかる「表面結露」と目には見えない「内部結露」があります。
表面結露は、冬の朝、窓やガラスの表面に水滴ができている結露。目に見えるので、自分自身で早めの対策ができます。
一方、内部結露は壁や床下、屋根の内部など目にはみえないところで起こる結露です。
この内部結露は、実際に結露が起こっていてもわかりません。壁の中に湿気がたまっていくと、知らず知らずのうちに、家を支える柱を腐らせ、カビや白アリなどを発生させる原因になります。自分ではきづかないうちに、家を構成する木材が腐り、強度が低下していってしまうのです。
湿度を好むダニが繁殖すればアレルギーを発症してしまう可能性もあるでしょう。長持ちして健康に暮らせる住宅を作るには結露が起こらないように対策することが大切です。結露のメカニズムを把握して対処することで、長く健康に暮らせる家を目指しましょう。